日本で初めてラーメンを食べたのは、水戸の黄門様だという。
記録によると、明国の儒者「朱舜水」が伝えたそれは、蓮根を練り込んだ麺、火腿でダシをとったスープ、ラッキョウ・ニンニク・ニラ・ネギ・ショウガの五辛薬味を添えている。
この古いレシピを可能な限り再現したのが「水戸藩らーめん」。
時は、元禄十年(1697)6月16日の「日乗上人日記」によると 十六日 甲子祭等例「晩課前、日周二カケトイフ物振舞ニテ参ル。ウンドンノゴトクニテ汁ヲイロイロ子ヲカケタル物ナリ」とある。
日記の中では、そばは「御そばきり」。うどんは「うんどん」。冷麦は「ひへむぎ」。素麺は「さうめん」と記されている。「ウンドンノゴトクニテ」はうどんのようなものとしか表現できないとすると、これがラーメンである。ちなみにラーメンは戦後になってからの呼名で、戦前は南京そばや支那そばと云っていた。
今では国民食といわれるRAMEN。和食ブームも手伝い世界へ拡散する。大陸からもたらせた麺文化はシルクロードの終着地である日本で花を咲かせた。
TVムック謎学の旅(1988年~1990年 日本テレビ)で「再現!水戸黄門が食べたラーメン」という回があり、古文書の中から水戸黄門がラーメンを食べたとの記述が発見され、レポーターの東野英心さんが350年前のラーメンの再現に挑戦するという内容で放送されました。
またその後、料理研究家の小菅桂子さんが出版した「黄門様の食卓」と「日本ラーメン物語」という本の中でも日本で初めてラーメンを食べたのは水戸黄門であると書かれていました。
この、黄門様が初めてラーメンを食べたという話題を一過性にしてはもったいない、水戸の町おこしになるのでは?との思いから水戸市内の飲食店の方々に声をかけ、日本で最初のラーメンを再現すべく水戸藩らーめん会を発足。初代会長に水戸市内の中華料理店「金龍菜館」店主遠藤馨輝氏、水戸市柵町の「大塚屋」で長年黄門料理の研究をされていた大塚子之吉氏に監修を依頼しました。
見たことも食べたこともないラーメンの再現は非常に難しく、文献をもとにレシピを作り、何度も試作と試食をくりかえしました。
そして平成5年(1993年)3月、ようやく商品化に成功し、さらに翌年2月には土産用の「水戸藩らーめん」の販売にこぎつけることができ、数々のテレビ番組や新聞雑誌などで取り上げていただきました。
多くの方々にご協力をいただき完成した「水戸藩らーめん」が、皆様に愛される商品になるようこれからも努力して参りたいと思います。